受賞者 | 会員 盛合禧夫氏(東北工業大学名誉教授) |
対象論文 | 長年の地すべりに関する研究活動と地域と教育関係における防災意識の啓蒙、地すべり学会東北支部設立に関わる尽力 |
審査結果
(1) 研究と啓蒙
氏は昭和42年以来大学における地学・土木地質学の教育・研究指導のかたわら、主として東北地方における地すべりの悉皆調査をすすめた。調査・研究の優れた成果は多数の論文・報文・著書として公表されている。特に、東北地方における大規模地すべり地形や、グリーンタフ地域における地すべり地形の形成・変遷の機構について、構造地質学の立場から多くの研究を手がけ土質工学との関わりについて解明し、高い評価を得ている。加えて、大学においては、多くの後進に地すべりを始めとする自然災害科学に関わる知見・見識を示し、長年にわたり斯界における調査・研究の認識の高揚に大きく貢献した。
(2) 東北支部設立への盡力と地すべりに関する啓蒙・普及
氏は長年にわたる研究・教育の期間中、かねてから地すべり学会東北支部の設立を強く希求していた。東北支部設立にあたってはその数年前より、多忙をきわめる中、東京、秋田、札幌、新潟などにおける総会、研究発表会とその前後における学会開催時の事情調査や、本部各部との調整、支部発足にかかわる諸条件を懸命に把握された。その過程において東北地区における地すべり学会員の学会支部発足の意識醸成のための努力が必要であった。連日の努力と支部会員の大きな協力、山口元会長の指導の結果、日本地すべり学会東北支部が発足した。設立に際して努力された候補者の盡力は大きく、更に設立後の支部発展のために多大な功績があった。
以上のような当該事項の功績によって、谷口賞の受賞者と決定した。